抄録
本稿では係り受け構造情報のタグ付けの一貫性について考える.係り受け構造には,統語的制約により一意に決まる構造と選択選好性によるタグ付け作業者に委ねる構造がある.多くの場合,統語的制約を優先してタグ付けられるが,選択選好性に影響され誤ってタグ付ける例が多々ある.このような事例について誤り傾向の差分を評価するために,ゲームを用いた新しい心理言語実験手法を提案する.埋め込み構造によるガーデンパス文を用いて 13 人の被験者で実験を行ったほか,6 種類の係り受け解析器を用いて解析誤り傾向の比較を行った.さらに最も誤った種類の文に対し,選択選好性がどのように影響したかについて報告する.