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自然言語処理
Vol. 23 (2016) No. 3 p. 267-299

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http://doi.org/10.5715/jnlp.23.267

論文

仮説推論は,与えられた観測に対する最良の説明を見つける推論の枠組みである.仮説推論は 80 年代頃から主に人工知能の分野で長らく研究されてきたが,近年,知識獲得技術の成熟に伴い,大規模知識を用いた仮説推論を実世界の問題へ適用するための土壌が徐々に整いつつある.しかしその一方で,大規模な背景知識を用いる際に生じる仮説推論の計算負荷の増大は,重大な問題である.特に言語の意味表示上の依存関係を表すリテラル(本論文では機能リテラルと呼ぶ)が含まれる場合に生じる探索空間の爆発的増大は,実問題への仮説推論の適用において大きな障害となっている.これに対し本論文では,機能リテラルの性質を利用して探索空間の枝刈りを行うことで,効率的に仮説推論の最適解を導く手法を提案する.具体的には,意味的な整合性を欠いた仮説を解空間から除外することで,推論全体の計算効率を向上させる.また,このような枝刈りが,ある条件が満たされる限り本来の最適解を損なわないことを示す.評価実験では,実在の言語処理の問題に対して,大規模背景知識を用いた仮説推論を適用し,その際の既存手法との計算効率の比較を行った.その結果として,提案手法が既存のシステムと比べ,数十~数百倍ほど効率的に最適解が得られていることが確かめられた.

Copyright © 2016 一般社団法人 言語処理学会

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