日本食品工学会誌
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噴霧乾燥法による中鎖脂肪酸オイル中のアリルスルフィドのシクロデキストリンを用いた包括粉末化
ムエン ティ バアン アン吉井 英文
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論文ID: 16480

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抄録

揮発性硫黄化合物は,食品の香を考える上で非常に重要である.にんにく中のアリルスルフィドを代表とする揮発性の硫黄化合物は,食品のおいしさに関連して多くの研究者によって検討されており,多くの官能検査を伴った数多くの報告がなされている.アリルスルフィドは,非常に不安定なフレーバーであり,その加工食品への応用は難しいのが現状である.そこで,アリルスルフィドの粉末化について,環状多糖シクロデキストリン(CD)を用いる方法について検討した.具体的には,中鎖脂肪酸オイル(MCTオイル)中に溶解させた数千ppmのアリルスルフィドとα-, β-, およびγ-CD溶液を室温で8時間混合攪拌後,噴霧乾燥することにより,アリルスルフィド包接CD粉末を作製した.このときの噴霧条件がアリルスルフィド包接CD粉末の特質に及ぼす影響について検討した.

噴霧乾燥入口空気温度200℃で作製したα-CD,β-CDおよびγ-CD粉末には,0.78,0.17および0.63,0.78mg/g-powderのアリルスルフィドを含有する粉末が得られた.粉末中のアリルスルフィド含量は,供給溶液中のアリルスルフィド濃度にほぼ比例して増加した.また,粉末中のMCT油量の増加によるアリルスルフィド含有量が増加した.これは,MCTオイル中のアリルスルフィドが選択的に包接されていることを示唆している.噴霧乾燥入口空気温度はCD粉末中のアリルスルフィド量に影響を与えなかった.CD粉末中のアリルスルフィド量は,CDの空孔径とCDの溶解度から考えられる被膜効果に依存すると考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本食品工学会
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