本稿では,入力される英文を特定の学年に合わせた難易度に平易化する難易度制御の手法を提案する.提案手法では,文と単語の両方の難易度を考慮することで,入力文を目標の難易度の文へ書き換える.文の難易度は既存手法と同様,テキスト平易化モデルの入力として目標の文の難易度ラベルを加えることで考慮する.単語の難易度を考慮するために,本研究では 3 種類の手法を提案する.それぞれ,単語分散表現を拡張して素性として単語難易度を考慮する手法,難解な単語を出力しないハードな語彙制約手法,平易な単語を出力しやすくするソフトな語彙制約手法である.評価実験により,ソフトな語彙制約が有効であることを示す.既存手法は文の難易度のみを考慮しており,省略など構文的な平易化には長けるが,難解な単語をしばしば残す.一方で,提案手法は構文と単語の両方の難易度制御を実現できる.