2020 年 27 巻 2 号 p. 211-235
本稿では関係分類における入力トークンの重要性を学習し,不要な情報をマスクするマスク機構を提案する.入力文の依存木上における,注目エンティティ間を結ぶ最短経路上には関係分類において重要な情報がよく存在するため,関係分類の特徴の一つとしてよく利用される.しかし,このヒューリスティックは所有格の s のように,最短経路外に重要なトークンが存在するような例外に対してはあてはまらない.そこで本研究では重要なトークンの判別規則を学習する機構を導入しそのような事例に対応する.学習はタスク損失からEnd-to-Endに行われ,追加アノテーションは必要ない. 実験の結果,提案手法は最短経路のヒューリスティックを上回る識別性能を記録した.また,提案機構が学習するマスクは最短経路と高い類似度となる一方,所有格の s など最短経路外の重要なトークンも利用するよう学習された.