自然言語処理
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一般論文
日本語における名詞句の情報構造と語順の相関についての 統計的検討
宮内 拓也浅原 正幸
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2020 年 27 巻 2 号 p. 361-381

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抄録

本稿では,情報構造に関係する文法情報がどのように語順に影響を及ぼすのかについて調査するため,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の名詞句に対して情報構造に関わる文法情報のタグを付与した BCCWJ-InfoStr を利用して,名詞句の係り先からの距離(文節数)をベイジアン線形混合モデルによりモデル化した結果を報告する.その結果,日本語の名詞句の語順は,(I) 情報状態が旧情報であるものが新情報であるものに先行する,(II) 共有性が共有であるものが非共有であるものに先行する,(III) 定名詞句が不定名詞句に先行する,(IV) 有生名詞句が無生名詞句に先行するという傾向が確認された.これは,機能主義言語学の分野で言及されている「伝達のダイナミズム」・「旧から新への情報の流れ」・「名詞句階層」を支持するものである.

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© 2020 一般社団法人 言語処理学会
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