自然言語処理
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日本語翻訳タスクへの帰納論理プログラミングの適用
新納 浩幸阿部 修也
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2003 年 10 巻 3 号 p. 75-85

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抄録

本論文では, SENSEVAL2の日本語翻訳タスクに対して帰納論理プログラミング (Inductive Logic Programming, ILP) を適用する. 翻訳タスクは分類問題として定式化できるため, 帰納学習の手法を利用して解決できる. しかし翻訳タスクは新たに訓練データを作るのが困難という特異なタスクになっており, 単純に確率統計的な帰納学習手法を適用することはできない. Translation Memoryの例文だけ, つまり少ない訓練データのみを用いて, どのように分類規則を学習すれば良いかが, 翻訳タスク解決の1つの鍵である. このために本論文ではILPを用いる. ILPは確率統計的な帰納学習手法にはない特徴を有する. それは背景知識を容易に利用可能である点である. 背景知識とは訓練データには明示されない問題固有の知識である. この背景知識によって訓練データが少ない場合の学習が可能となる. ここではILPの実装システムとしてProgol, 背景知識として分類語彙表を利用することで, 翻訳タスクに対して正解率54.0%を達成した. この値は, 付加的な訓練データを用いないSENSEVAL2参加の他システムと比較して優れている.

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