関東東山病害虫研究会報
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畑作物・野菜の虫害
茨城県の施設キュウリにおけるミナミキイロアザミウマThrips palmi Karnyに対する薬剤感受性
高木 素紀後藤 舞久恒 和雅草野 尚雄鹿島 哲郎
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2018 年 2018 巻 65 号 p. 115-117

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抄録

近年,茨城県の施設栽培キュウリでは,ミナミキイロアザミウマThrips palmi Karnyおよび本虫が媒介するメロン黄化えそウイルス(MYSV)によって引き起こされるキュウリ黄化えそ病の発生が問題となっている。現地圃場では,ミナミキイロアザミウマに対する防除が複数回行われているにも関わらず本虫が防除しきれず,ウイルス病も発生することから,ミナミキイロアザミウマの殺虫剤に対する感受性の低下が疑われた。そこで,県内の施設栽培キュウリから採集したミナミキイロアザミウマ個体群を用いて,雌成虫の殺虫剤感受性を調査した。その結果,ミナミキイロアザミウマに対して補正死虫率90%以上の高い殺虫効果を示した薬剤はエマメクチン安息香酸塩乳剤のみで,補正死虫率70%以上の殺虫効果があった剤はジノテフラン水溶剤,ニテンピラム水溶剤およびクロチアニジン水溶剤の3剤であった。その他の8剤は補正死虫率が70%未満となり,殺虫効果が低かった。以上から,本県施設栽培キュウリ圃場のミナミキイロアザミウマに対して防除効果の得られる薬剤は限られており,多くの薬剤への感受性が低下していると考えられた。したがって効果の高い農薬の使用を含めた,総合的防除対策を構築する必要がある。

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© 2018 関東東山病害虫研究会
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