自然言語処理
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連想メカニズムを用いた話者の感情判断手法の提案
土屋 誠司吉村 枝里子渡部 広一河岡 司
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2007 年 14 巻 3 号 p. 219-238

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抄録

我々は, 人とのコミュニケーションの仕組みを機器とのインタフェースとして実現することを目標に研究を行っている. 人間は会話をする際に意識的または無意識のうちに, 様々な常識的な概念をもって会話を展開している. このように会話文章から常識的な判断を行い, 適切に応答するためには, ある語から概念を想起し, さらに, その概念に関係のある様々な概念を連想できる能力が重要な役割を果たす. 本稿では, ある概念から様々な概念を連想できるメカニズムを基に, 人間が行う常識的な判断の一つである感情に関する判断を実現する方法について提案している.「主体語」, 「修飾語」, 「目的語」, 「変化語」の4要素から成るユーザの発話文章から, そのユーザの感情を基本感情10種類, 補足感情24種類で判断する手法を提案している. また, 本手法を用いた感情判断システムを構築し, その性能を評価した結果, 常識的な解の正答率は76.5%, 非常識ではない解を正答率に含めると88.0%であり, 提案した処理手法は有効であると言える.

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