自然言語処理
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意味的制約を用いた日本語名詞における間接照応解析
村田 真樹長尾 真
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1997 年 4 巻 2 号 p. 41-56

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抄録
照応現象の一つに, 文章中に現れていないがすでに言及されたことに関係する事物を間接的に指示する間接照応という用法がある. 間接照応の研究はこれまで自然言語処理においてあまり行なわれていなかったが, 文章の結束性の把握や意味理解において重要な問題である. 間接照応の解析を行なうには, 二つの名詞間の関係に関する知識として名詞格フレーム辞書が必要となるが, 名詞格フレーム辞書はまだ存在していないので, 「名詞Aの名詞B」の用例と用言格フレーム辞書を代わりに利用することにした. この方法で, テストサンプルにおいて再現率63%, 適合率68%の精度で解析できた. このことは, 名詞格フレーム辞書が存在しない現在においてもある程度の精度で間接照応の解析ができることを意味している. また, 完全な名詞格フレーム辞書が利用できることを仮定した実験も行なったが, この精度はテストサンプルにおいて再現率71%, 適合率82%であった. また, 名詞格フレーム辞書の作成に「名詞Aの名詞B」を利用する方法を示した.
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