自然言語処理
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HPSGにもとづく日本語文法について
実装に向けての精緻化・拡張
大谷 朗宮田 高志松本 裕治
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2000 年 7 巻 5 号 p. 19-49

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抄録
自然言語処理において, 言語の諸相を見据えた宣言的な文法にもとつく構文解析は必須である. 実用的な文法体系を構築するため, 我々は最近の主辞駆動句構造文法の成果を実装することにより, NAIST JPSGという単一化にもとついた日本語句構造文法を構築した. NAIST JPSGでは, 日本語の様々な特徴の検討を経て, それらの間の規則性を局所的な制約として記述することで, 文法の原理, スキーマおよび素性が設計されている. また, 個別言語の現象として, 格助詞の分布・サ変動詞構文の意味的局所性・連体修飾節における格を伴った修飾句の係り先について, それらの語彙情報に関心を持って我々は分析した.(i) 格助詞が現れるか否かは, 言語的対象を説明する素性体系の一部である型階層化された格素性にもとついて説明できる.(ii) サ変動詞構文は形態的には複雑な構造でありながら意味的には単純な関係を含んでいるが, そのような不整合は語彙記述および単一化といった一般的な機構によって解消される.(iii) 連体修飾に関してコーパスを調査することで, いくつかの修飾一被修飾の関係は述語的な形態素を導入することにより削減することができる.
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