抄録
音声合成におけるポーズ制御において重要となる局所係り受け解析に関し, 決定リストを用いる方法を開発し, ポーズ挿入の正解率をF値で評価したところ90.04%を得た. 本係り受け解析は決定リストを用いているので, 使用するメモリの容量と処理速度に関して設定を容易に変更できるという特徴を有している. このため, 用途に応じてメモリ容量, 計算速度が選択できる. 計算速度を重視し, メモリ容量を12Kバイトと小さくした場合, 文あたりのポーズ設定処理の時間7msec (Pentium III 450MHz), F値85%となり, 音声合成システムへの実装が現実的であることがわかった. 係り受け解析結果に基づくポーズ挿入位置制御規則を作成し, 聴取実験によって性能を確認した. その結果, 係り受け距離のみに基づく制御で, 85%程度のポーズ挿入位置が挿入適当という結果であった. さらに, 句読点や, ポーズの連続などの要因を取り入れて規則の精緻化を行った結果, 91%程度のポーズ挿入位置が挿入適当という結果が得られた.