自然言語処理
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日本語-ウイグル語機械翻訳のための格助詞の変換処理
ムフタル マフスット小川 泰弘稲垣 康善
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2001 年 8 巻 3 号 p. 123-142

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抄録
日本語とウイグル語は共に膠着語であり, 語順がほぼ同じであるなどの構文的類似性が見られる. そのため, 日本語-ウイグル語機械翻訳においては, 日本語文を形態素解析した後, 逐語訳を行うだけでもある程度の翻訳が可能となる. これは, 名詞や動詞などの自立語の文中での役割が助詞, 助動詞といった付属語によって示されており, そうした付属語においても, 日本語とウイグル語との間で対応関係があるからである. 特に名詞に接続する格助詞は, 文中での他の語との関係を決めるという, 言語構造上重要な機能を持っている. そのため, 格助詞を正しく翻訳できなければ, 違和感のある翻訳文になるだけでなく, ときには致命的に誤った意味となる翻訳文を生成することがある. そこで, 本論文では, 日本語-ウイグル語機械翻訳における格助詞の取り扱いについて論じる. まず, 計算機用日本語基本動詞辞書IPALを用いて動詞と格助詞の使われ方を調べるとともに, それぞれの格助詞の機能に対応するウイグル語格助詞を決定する. さらに, この調査結果から作成した動詞の格パターンを利用して複数の格助詞の訳語候補の中から, 適切な訳語を選択する手法を提案する. また, 本提案手法に対する評価実験では, 環境問題関連の新聞社説3編の日本語138文を対象にし, 我々が本論文で提案するアプローチに基づいて実験を行った. その結果, 99.3%の正解率を得ることができた.
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