人間ドック (Ningen Dock)
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原著
新しい健診スタイル「イブニングレディースドック」の2年間の取り組みと成果
片山 多希子大城戸 麻衣子奥村 真紀永田 和也麻生 奈央子田川 貴浩坂田 香織井上 悦子松永 由里子坂本 祐二満崎 克彦田中 信幸菅 守隆
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2016 年 31 巻 3 号 p. 468-473

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抄録
目的:日中の来院が難しい女性への予防医療の提供を目指し,2013年4月より夕方から行う健診を開始した.検査項目は女性特有の疾患に絞った婦人科・乳房・甲状腺・骨密度の検査であり,当センターでは,通称,イブニングレディースドック(以下,EL)と呼んでいる.スタッフは全員女性である.今回,ELの取り組みと成果について報告する.
方法:2013年4月~2015年3月の日中のレディースコース(一般の人間ドックにELの項目を付加した健診.以下,非EL)の受診者3,013名と,同期間のEL受診者1,179名の属性や検査成績を比較し,χ2検定を用いて分析した.また,人間ドック内容に関する満足度確認のためEL受診者へのアンケートの分析を行った.
結果:受診者年齢では40歳未満の割合が非EL 15.8%に対し,EL 34.9%と高かった.初回受診割合は非EL 13.5%に対し,EL 47.8%と高かった.また非ELと比べ,ELでの精検受診率・がん発見率は同程度で,要精検率は高かった.精検受診率はELで婦人科84.8%,乳房95.2%,甲状腺89.8%,がん発見率は婦人科0.26%,乳房0.59%,甲状腺0.93%であった.受診者アンケートでは家族や友人に勧めたい方が94%であった.
結論:受診者属性や検査成績の分析から,ELでは初回受診者や若年層,さらに個人での申し込み者が多く新しい受診者層の開拓が図れた.また,精検受診率・がん発見率も結果説明のある非ELと同等に高いことから有用な健診であることが明らかとなった.受診者アンケートからは羞恥心や時間への配慮を行ったことで,受診者満足度が高いことがわかった.
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© 2016 公益社団法人 日本人間ドック学会
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