自然言語処理
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日本語読み上げ文の係り受け解析における韻律的特徴量の有効性
廣瀬 幸由尾関 和彦高木 一幸
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2001 年 8 巻 4 号 p. 71-89

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抄録

韻律には発話が文字化されると失われてしまう情報が含まれているが, そのような情報は発話文の構文解析に有効である可能性がある. 我々のグループでは, 以前の研究で12種類の韻律的特徴量を取り上げ, それらと係り受け距離の関係を表現する統計モデルを構成した. そして, そのモデルを組み込んだ係り受け解析器を用い, 韻律情報が実際に読み上げ文の係り受け解析に有効であることを示した. 本研究では新たな特徴量を加えて24種類の韻律的特徴量を取り上げ, 有効な特徴量を広い範囲で探索した. また, 統計モデルを特徴量の現実の分布によりよく当てはまるように修正した. その結果, ATR503文データベースを用いたオープン実験において, 韻律的特徴量を用いることにより, 係り受け解析の文正解率が21.2%向上した. これは, 我々のグループの以前の実験における向上率より4.0ポイント高い. 特徴量の中でポーズ長はクローズド実験においてもオープン実験においても非常に有効であったが, これと併用したときの, ピッチやパワー, 話速等に関連する他の特徴量の有効性はオープン実験においてはあまり明らかでなかった.

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