自然言語処理
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主体と動詞の属性に基づく複文の連接構造の解析
向仲 景
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2002 年 9 巻 2 号 p. 23-43

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抄録
本論文は, 動詞と主体の属性を用いて複文の連接関係の関係的意味を解析し, この関係的意味を用いて連接構造を解析するモデルについて述べる. 従来, 複文の従属節問の連接構造解析は, 接続の表現を階層的に分類し, その階層的な順序関係による方法が用いられてきた. しかし, 接続の表現には曖昧性があり, 同じ接続の表現でも意味が違うと係り方が違う. このため, 本論文では, 動詞と主体の属性を用いて, 連接関係の意味を求め, この連接関係の関係的意味を, 連接関係の距離によって分類する. この分類を用いて連接構造を解析する方法を用いた. 動詞の属性として, 意志性, アスペクト・ムード・ヴォイス, 意味分類などを用いた. 主体の属性として, 主節と従属節の主体が同一かどうか, 無生物主体かどうかを採用した. このモデルを実際の用例により評価した結果98.4%の精度が得られた. 接続の表現の階層的分類を使用したモデルに同じ用例を適用したところ97.0%の精度が得られたので, 本論文のモデルを使用することにより誤り率が約半分に改善された.
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