2018 年 16 巻 p. 54-64
本稿では,人-機械のインタフェース・インタラクションを人工知能の観点から議論する既存の研究を,各学問分野および具体的な応用技術から書籍を中心に紹介する.第2章では3つの学問分野(エスノメソドロジー,認知科学,ヒューマンエージェントインタラクション)の,第3章では社会に実装され始めている2つの応用技術(コミュニケーションロボット,自動運転)の議論を概観する.各学問分野や応用技術の議論におけるアプローチは異なるが,いずれも独立した主体の内部のモデルのみに着目するのではなく,外部の環境を内包した状況付けられた人-機械の関係性を強調している.また,応用技術の研究では人-機械のインタラクションのあり方に関する社会的・倫理的議論が積み重ねられている.