科学技術社会論研究
Online ISSN : 2433-7439
Print ISSN : 1347-5843
原著
BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)の報道に関する日中比較分析
Zhechen HAO日比野 愛子
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2023 年 21 巻 p. 89-105

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抄録

 本論文の目的は,日本と中国の新聞と学術雑誌で,BMI (ブレイン・マシン・インタフェース)がどのように捉えられてきたのかを明らかにすることである.日本と中国メディアそれぞれの特徴を明らかにし,なぜこのような特徴が見出されるかを社会的要因に注目して考察する.方法は,記事の頻度分析,ならびに内容分析を用いた.結果,第一に,頻度分析により,BMI に言及している中国の新聞と学術雑誌の関連記事件数は総体的には増加している傾向にあるのに対して,日本の学術雑誌件数は減少している傾向が見られた.第二に,日本と中国の記事はともに,多くは肯定的な態度でBMI を取り扱っており,倫理的・社会的問題については言及されることが少なかった.一方で相違点としては,中国の新聞では特定のアメリカ企業に対して「否定的」な態度を見せることが多かったことが挙げられる.第三に,数量化三類により,日中記事では,「侵襲型BMI」と「非侵襲型BMI」を異なる態度で取り上げていることが判明した.最後に考察として,萌芽的な科学技術であるBMI に関する科学報道に対して,社会で顕著な課題,代表人物の評判,国際関係,社会環境,メディア特性といった社会的要因が影響を与えていた点を議論した.

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© 2023 科学技術社会論学会
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