日本医科大学雑誌
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数量化理論による慢性肝疾患の門脈圧の推定
瀬戸 廣長沢 紘一荒牧 琢己
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1991 年 58 巻 1 号 p. 65-73

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抄録

慢性肝疾患63例 (慢性肝炎22例, 肝硬変41例) を対象として, 日常臨床で容易に得られる情報をもとに, Hayashiの数量化理論を用い, 門脈圧推定式の作成を試み, 次の結果を得た.
1) 病歴, 身体所見, 検査所見など32の情報のうち門脈圧と有意の関係が見出されたのは脾腫など14の項目であった.
2) 門脈圧と有意の関係はなかったが, 有用とみなされた情報を加え, 計17項目を用いて数量化理論により門脈圧推定式を作成した.
3) 推定式により得られた門脈圧と肝静脈カテーテル法による実測値の間にr=0.835の高い相関関係がみられた.
4) External sample 31例による検討でもr=0.455 (p<0.01) と有意の相関関係がみられ, 本推定式の有用性が確認された.
5) 門脈圧の推定に強い影響を及ぼした項目はICGR15, 赤血球数, プロトロンビン時間, 肝腫, 脾腫であった.
6) 本推定式は日常臨床においても有用であると考えられた.

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