日本神経回路学会誌
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解説
カオス連想メモリによるバインディングの実現
長名 優子
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2009 年 16 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

人工的なニューラルネットワークの分野において,バインディング問題に関するいくつかのモデルが提案されている.本稿では,双方向性理論とカオス連想メモリに基づいたモデルを紹介する.カオス連想メモリは,記憶したパターンを動的に想起できるだけでなく,記憶したパターンの重畳パターンが入力として与えられたときにそれらのパターンを分離して想起することができる.このモデルでは,カオス連想メモリのこのような性質を利用して同時に入力された複数のパターンに関する属性の情報を分離し,バインディングを実現している.このモデルでは,学習したパターンが同時に複数入力された場合だけでなく,学習パターンと共通したパターンを含むような未学習のパターンを入力として与えた場合にもバインディングを実現することができる.

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© 2009 日本神経回路学会
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