脳は極めて多くのニューロンから構成され,ニューロンが互いに連絡を取り合いながら情報が処理される.したがって,その情報処理の原理を解明するためには,脳からできるだけ多数のニューロンを同時に記録することが重要である.自由行動中の動物からの多電極記録はこのような要請によって発展し,電気生理における標準的な手法の一つとなりつつある.一方,多電極記録により得られるスパイク列をどのように解析するかは決して簡単な問題ではない.本稿では記憶の固定化の研究を例に,著者の海外修行の体験も交えながら,多電極記録の実際とスパイク列の解析方法の一例を紹介する.