日本神経回路学会誌
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解説
V1野における異なる時間スケールの同期
—多点電極アレイを用いた計測を中心に—
田中 宏喜
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2015 年 22 巻 4 号 p. 181-188

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抄録

大脳皮質神経回路の動作様式を理解するために,多点電極アレイを使ったin vivo神経細胞集団のスパイク活動計測が数多く行われている.今回そのような研究の1例として,第一次視覚野(V1野)における神経活動同期に関する研究を紹介する.V1野では,細胞同士が数ミリ秒の精度で同期して発火する正確な同期と数十ミリ秒オーダーの緩やかな同期がみられる.近年,多点電極アレイを用いて,これらの同期を示す細胞集団の空間構造や応答特性などが詳細に調べられ,その機能やメカニズムを考える上での新たな知見が得られた.本稿では初期の研究を振り返るとともに,多点電極アレイによる研究成果を述べる.

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© 2015 日本神経回路学会
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