日本神経回路学会誌
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解説
全身運動におけるパフォーマンスに関連した運動要素の同定
瀧山 健古木 大裕
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2017 年 24 巻 3 号 p. 138-146

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抄録

野球における投球動作を始めとして,目標の結果を達成するための身体運動(目標指向型の運動)はスポーツ,芸術,日常生活の様々な場面における基礎要素である.しかしながら,目標指向型の全身運動の特性は未だ十分明らかにされていない.なぜならば,全身運動に内在する3つの特性(1. 多数の身体部位の時系列が関わる高次元性,2. 動力学が非線形である非線形性,3. 一つの運動を達成するための運動パターンは無数に存在する冗長性)が全身運動データの解析を困難にしており,どのように我々が理想的な全身運動パフォーマンスを達成しているか十分に検証されていないためである.目標指向型の全身運動の特性を明らかにするための第1歩目として,本研究では各運動要素(各運動時刻における各身体部位の動作)の運動パフォーマンスへの関連度をデータ駆動型に定量化する手法を提案する.特に,全身運動に内在する高次元性,非線形性を利用することで,線形回帰手法により各運動要素の運動パフォーマンスへの関連度を定量化できる可能性を示す.

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© 2017 日本神経回路学会
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