日本神経回路学会誌
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解説
ロボットを昆虫で動かして,未来を眺める
安藤 規泰神崎 亮平
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2017 年 24 巻 4 号 p. 153-161

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抄録

適応行動の神経基盤を明らかにすることは,神経科学の主要な目標の一つである.その中で移動ロボットは,神経科学の知見を検証するためのツールとして用いられてきた.また,神経系のモデルをロボットに実装することは,生物機能を模倣して工学的応用を目指すバイオミメティクスによるロボット開発に向けたステップとしても重要である.一方で,脳や神経系の解析は現在進行中であり,これらの完全なモデルでロボットを動かすには至っていない.我々は,生物とロボットを直接接続すれば,この最終目標を一足先に見ることができ,研究の推進に貢献できると考え,昆虫がロボットを直接操縦する「昆虫操縦型ロボット」を開発した.この昆虫操縦型ロボットを,将来実現する完全な神経回路モデルを実装したロボットと見なすことで,神経回路のメティクスによって実現する移動ロボットの性能を,「今」把握することができる.さらに,同一のロボットを,生物と神経回路モデル双方で動かすことで,両者の完全な比較検証が実現する.生物がロボットを動かすハイブリッドロボットは,従来の「神経系を調べてからロボットを動かす」移動ロボットの利用に対して,「ロボットを動かしながら神経系を理解する」ための研究手法を提供するもので,神経回路の完全理解と応用に向けたその意義は大きいと考える.

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© 2017 日本神経回路学会
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