日本口腔保健学雑誌
Online ISSN : 2434-7116
Print ISSN : 2434-7108
原著
若年女性の口腔内歯周病原菌叢の変化と歯冠色明度との関係性について
-2021年と2015年の調査の比較-
時田 実河煤賀 美緒元井 志保佐藤 治美今井 あかね
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 12 巻 1 号 p. 16-22

詳細
抄録

 これまで歯周病原菌と歯の色素沈着の関係が示唆されてきたが,未だ解明されていない.本研究 では若年成人女性の歯周病原菌の保菌状況および歯冠色明度について調べた.

 2021年の研究対象者であるN短期大学学生および教職員の計56名より,プラーク提供およびシェードを用いた歯冠色明度(明度)測定の協力を得た.採取プラークから歯周病原菌DNAを調製してPCR法を用いて5種類の歯周病原菌の同定を行い,2015年の状況と比較検討した.

 歯周病原菌保菌状況では,2021年の研究対象者のうち,Aggregatibacter actinomycetemcomitansA. a.)を保菌している者が100%,Porphyromonas gingivalisP. g.)を保菌している者が16.1%であったが, 2015年の研究対象者54名のうち,P. g.を保菌している者が92.6%,A. a.を保菌している者が7.4% であり,A. a.P. g.の保菌者の割合が逆転した.2021年の明度測定より,1および2を明色群27名,3および4を暗色群39名として2群に分けた.明色群と暗色群の保菌種類の平均値比較を行った結果,明色群の方が有意に多かったが,2015年では暗色群が多く,逆転した結果となった.

 本研究から歯周病原菌叢と明度との関連性が示唆されたが,その詳細原因については今後解明されるべき課題である.

著者関連情報
© 2022 日本歯科大学東京短期大学
前の記事 次の記事
feedback
Top