日本口腔保健学雑誌
Online ISSN : 2434-7116
Print ISSN : 2434-7108
原著
推奨されるフッ化物配合歯磨剤使用法の有用性と口腔内環境に及ぼす影響について
-歯科衛生学生の認識と歯科保健行動-
相澤 直依池田 利恵
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2022 年 12 巻 1 号 p. 23-33

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抄録

 う蝕予防や歯周病予防には歯磨剤の薬効成分の効果を十分に発揮させることが重要であり,そのために推奨されているフッ化物配合歯磨剤の使用法(以下,推奨法)がある.推奨法が認知され,継続的に実施することができるか否か,また残留した薬効成分が口腔内環境に及ぼす影響について十分に明らかにされていない.

 本研究の目的は,推奨法の認知度と有用性について明らかにすることである.また,推奨法が口腔内環境に及ぼす影響についても明らかにする.

 調査対象は,N短期大学歯科衛生学科に在籍する学生210名とした.事前調査として記名自記式アンケート調査を実施した.実験調査として,事前調査に参加した者から30名を対象に,6週間の推奨法実施前後で口腔内細菌数を測定した.また,事後調査として,記名自記式アンケート調査を実施した.

 推奨法の認知度は,歯科に関する知識の増加に伴い,上昇した.また,推奨法の達成度と口腔内細菌レベルの変化との関連性を検討したところ,達成度の高い者ほど細菌数は増加しなかったことから,推奨法を毎日行うことで細菌の増殖を抑制できることが示唆された.さらに,7割以上が今後も推奨法を続けたいと希望した.

 本研究により,推奨法の認知度は学習により増加することが明らかとなった.また,推奨法は口腔内細菌の増殖抑制に効果があり,継続的な実施が可能であることが示唆された.

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© 2022 日本歯科大学東京短期大学
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