2024 年 14 巻 1 号 p. 58-63
本研究の目的は,矯正用常温重合レジン(以下:矯正用レジン)とセルロースナノファイバーシート(以下:CNFシート)の接着性を向上させるために,CNFシートに表面処理を行い,矯正用レジンに埋入することによる補強効果について明らかにすることである.
実験条件は,controlとして「補強材なし」,CNFシートの埋入は1枚とし,表面処理の比較として「表面処理なし」,「切り込みの付与」,「アルミナサンドブラスト処理」,「コンポジットプライマー塗布」の5条件で 3点曲げ試験を行った.
その結果,CNFシートに表面処理を行った試験片の曲げ強さが大きな値を示し,表面処理を行わなかったものと比較して有意差が認められた.一方,3種の表面処理方法の違いによる有意差は認められなかった.
本研究の結果から,表面処理を行ったCNFシートを矯正用レジンに埋入することで,CNFシートが持つ高強度という特性を発揮し,曲げ強さが大きくなり補強効果が得られることが示唆された.また,補強材の表面処理による接着力の向上が示唆され,矯正用レジンの曲げ強さの向上に寄与することを示した. 表面処理方法としての,切り込みの付与,アルミナサンドブラスト処理の機械的接着とコンポジットプライマー処理の化学的接着は,それぞれ矯正用レジンとCNFシートの接着力向上に有効的であると考える.