〈シンポジウム 経験の〈場〉――『善の研究』からの展開」〉身体技術と純粋経験

抄録

「純粋経験」について述べる際、西田は身体技術について言及することが多い。本論はこのことに着目し、『善の研究』における「純粋経験」を身体技術との関係において考察することを目的とする。具体的には、素人の純粋経験と達人のそれはどう異なるのかという問いを立てる。考察の結果、『善の研究』の段階では、西田はその違いを記述するための概念を明示していないこと、そのためには後期の習慣についての考察を俟たなければならないことが明らかになる。