抄録
【目的】ストレッチャー移送時の乗車者の頭部の揺れと心理的負荷に対する枕への背側クッション導入の効果を明らかにすることを目的とした.【方法】18 名の健康成人を対象に,3つのパターン(A:枕なし,B:U字型安楽枕,C:Bの背側に角形クッションをつけた枕)で指定した移送コースを走行した.移送時の乗車者の頭部の角速度と心理的負荷を測定した.【結果】頭部の角速度はX軸,Y軸ともに,A>B>Cの順に有意に小さくなっていた.また,移送中の不安・緊張は,AとBおよびCの間で有意に少なかった.【結論】ストレッチャー移送時の乗車者の枕に背側クッションを付けることで,乗車者の頭部の左右方向の揺れが軽減する可能性がある.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
→ストレッチャー移送時に起こる有害事象や不快の軽減をテーマとした研究である.
2.研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ストレッチャー移送時の有害事象の原因の1つは「頭部の揺れ」ではないかと考え,揺れの程度を知りたいと思ったことである
3.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ ストレッチャー移送時の頭部の揺れと心理的負荷の軽減に貢献できる.
4.今後どのような技術が必要になるのか?
→ストレッチャー移送時の頭部の揺れをより軽減するストレッチャーおよびその付属物を開発する技術が必要になる.