看護理工学会誌
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実践報告
エコーによる新生児の末梢静脈カテーテル合併症観察の判別可否の検証
山田 桃子米澤 かおり春名 めぐみ阿部 麻里松原 愛海高橋 尚人
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2024 年 11 巻 p. 180-186

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抄録

 背景:新生児の末梢静脈カテーテル(PIVC)合併症は早期発見が重要である.新生児を対象にエコーによるPIVC 合併症判別が可能かを明らかにする目的で,PIVC 抜去直後の留置部位の皮下組織の撮影を実施した.方法:新生児8名に挿入されたPIVC 10 本を対象とし,エコーでPIVC 抜去直後と24 時間後に,留置部位とその反対側の皮下組織を撮影した.エコー画像取得後に皮下浮腫は軽度,中程度,重度に分類した.結果:反対側を含むすべての撮影時期において軽度以上の皮下浮腫があり,中程度・重度皮下浮腫は各1本であった.すべてのPIVC 留置部で血管壁は不明瞭な状態で,血栓は3本のPIVC で確認できた.考察:エコーを使用して新生児の皮下浮腫,血栓,血管壁を判別することができた.しかし,軽度の皮下浮腫は新生児では正常である可能性が示唆され,血管壁の形状は,PIVC 穿刺・留置によって不明瞭になる可能性が考えられた.

【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
 研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→血管の細い新生児が輸液療法を受ける際,成人と比較して刺入部のトラブルが多いことに問題意識をもち取り組みました.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 今回はカテーテル抜去後の所見の記述であったが,今後の研究で刺入中のエコー所見から初期症状を同定することにより,新生児の末梢静脈カテーテルの合併症の早期発見に貢献できます.

3.今後どのような技術が必要になるのか?
→末梢静脈カテーテル刺入中にエコー観察ができる技術,および合併症を自動判定できる技術などが必要と考えます.

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