看護理工学会誌
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実践報告
超音波ガイド下穿刺用フィルムドレッシング越しに取得した超音波画像の予備的質評価
阿部 麻里高橋 聡明河本 敦夫仲上 豪二朗
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2024 年 11 巻 p. 208-214

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抄録
 超音波検査装置を用いた末梢静脈カテーテル留置時に穿刺野を清潔に保つため,エコーゼリーの代替に消毒液を使用することがあるが,この方法には超音波プローブ操作の熟練が求められる.この課題解決のため,超音波ガイド下穿刺用のフィルムドレッシングを開発した.超音波は一般的に,物質を透過すると減衰するため,ドレッシング越しに得られた画像の質を評価した.健常人の上腕尺側皮静脈の超音波画像をドレッシング材貼付の有無の条件で取得した.撮影条件を盲検化した評価者が,Resolution(RES),Detail(DET),Total image quality(TIQ)について10 段階のリッカート尺度で評価した.穿刺に重要な短軸画像においてRES はドレッシング貼付の有無でそれぞれ7点と9点であったが,DET とTIQ は両条件で同等であった.開発したドレッシング越しの超音波画像は超音波ガイド下穿刺が可能な画質であることが示された.

【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
→エコーガイド下で末梢静脈カテーテルを留置する際に超音波が透過しやすいフィルムが必要である.
 研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→超音波が透過しやすいフィルムドレッシングを産学協同で開発し,その画像評価を行った.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ フィルム越しでも,エコーガイド下穿刺に必要なエコー画像を得られることを示した.
清潔にエコーガイド下穿刺ができるため,この技術が臨床に広まることを後押しする.

3.今後どのような技術が必要になるのか?
→エコーガイド下で行うさまざまな処置を清潔に実施するためのフィルム開発が必要である.
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