抄録
腹臥位手術中の褥瘡予防としてウレタンフォームマットレスを使用する.この圧再分配機能にはマットレスの沈み込みが影響するが,腹臥位中の腸骨部の皮膚の沈み込みについて明らかにした報告はない.研究者らは腹臥位で使用中のマットレスの変形具合を磁気共鳴画像で可視化することを着想した.しかし,磁気共鳴画像はその撮像原理から生体の撮像はできるが,マットレスを撮像することはできない.そのため,新たにマットレスの体圧分散効果に影響なく撮像できる方法を考案した.その結果,10 mM の造影剤を注入した内径6mm の耐油ビニールチューブをマットレスの4辺に固定することにより,マットレスの形状を点で確認することができた.また,マットレスの変形を撮像することがで
きた.今後,本手法を用いて褥瘡予防に有効なマットレスの硬さを明らかにできることが期待される.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ 病棟とくらべて手術室の褥瘡発生率は高い.そのため,褥瘡予防に有効な体圧分散マットレスの検討が必要と考えた.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ マットレスの変形の可視化により,褥瘡予防に有効なマットレスの硬さを明らかにすることができる.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ マットレスの変形から,体圧分布を推測できるような技術が必要になる.