原子力バックエンド研究
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研究論文
玄武岩ガラスの風化プロセスにおける希土類元素, ウラン, トリウムの地球化学的挙動に関する研究
大谷 晴啓鹿園 直建
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2005 年 11 巻 2 号 p. 181-192

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抄録
 黒ボク土, ローム層の化学分析を行うことで, 玄武岩ガラスの風化作用, 土壌化作用に伴う希土類元素 (REE) (Am, Cmの化学的類似元素), ウラン, トリウムの長期的挙動について調べた. 黒ボク土中では, 玄武岩ガラスは変質し, 粘土鉱物, 水酸化鉄へと変化していく. これらに伴うアルカリ元素, アルカリ土類元素の溶脱率は大きい. REEは玄武岩ガラスより溶脱するが, その移動度は小さい. ウラン, トリウムも若干溶脱するが, その溶脱率は小さい. 黒ボク土の下部のローム層では, REEの溶脱率は小さく, むしろ蓄積される場合もある. 黒ボク土の堆積速度と, 溶脱率より, REEと U, Thの玄武岩ガラスからの最大溶脱率が3000年間でそれぞれ約 50%, 30%, 30%と推定された. しかし, 溶脱した REE, ウラン, トリウムは, 下部のローム層中で溶脱されにくいので, より長期間の黒ボク土やローム層からのこれらの元素の溶脱率は小さいといえる.
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© 2005 社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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