原子力バックエンド研究
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Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
研究論文
福島第一原発事故で汚染された土壌の埋設場所からの放射性セシウムの移行に関する実証試験
山口 徹治島田 太郎石橋 純赤木 洋介黒沢 満松原 諒宜松田 祐紀佐藤 滋芳
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2015 年 22 巻 2 号 p. 21-28

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抄録

 福島第一原発事故で汚染された土壌を穴に埋設し,清浄な土壌で覆土すれば,放射性セシウムは汚染土壌から周りの土壌や地下水にほとんど移行しないことは過去の研究から推定できる.本研究では,茨城県美浦村の1つの公園と埼玉県三郷市の2つの公園において一年にわたって核種移行試験を行って,その推定を実証した.汚染された表層土壌を集めて埋設し,散水によって放射性セシウムの移行を加速した.ボーリングコアの切断分析結果や,土壌水の分析結果からは,放射性セシウムの動きは見られなかった.また,実験室におけるカラム移行試験および収着試験によって,放射性セシウムが汚染土壌からほとんど溶出しないことや,たとえ溶出しても周囲の土壌に収着されてほとんど移行しないことを示すデータを得た.試験は1年間で終了したが,移流拡散モデルによるシミュレーション解析を100年間について行ったところ,セシウム-137はほとんど移行せずにその場で減衰することが示された.

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© 2015 一般社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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