高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価は,処分施設閉鎖後,数万年以上に及ぶ時間スケールを対象として実施される.そのため,長期的な自然現象による影響を考慮した地下水の流速や移行時間といった地下水流動状態の長期変動性の評価技術の整備は重要な技術開発課題である.本研究では,長期的な自然現象のうち隆起・侵食による地形変化や気候変動に着目し,それらに対する地下水流動状態の変動性を,複数の定常解析結果に基づく変動係数で評価可能な手法を構築した.岐阜県東濃地域を事例とした評価手法の適用性検討の結果,過去100万年間の地形変化や涵養量の変化による影響を受けにくい地下水の滞留域を三次元的な空間分布として推定した.本評価手法を適用することで,地層処分事業の評価対象領域において,地形変化や気候変動に対する地下水流動状態の変動性が小さい領域を定量的かつ空間的に明示することができる.さらに,岐阜県東濃地域における事例検討結果を踏まえて,外挿法を用いた地下水流動状態の変動性の将来予測の基本的な考え方を整理するとともに,将来予測手法の適用方法について考察した.