原子力バックエンド研究
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Print ISSN : 1884-7579
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研究論文
深部地質環境における微生物群集-東濃地域を例として-
村上 由記長沼 毅岩月 輝希
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1999 年 5 巻 2 号 p. 59-66

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抄録

  地球上のliving carbonの半分以上は地下に存在するという可能性が指摘されている.近年,地下の微生物に関する知見が世界各地で報告されており,地下生物圏の存在はかなり確実視されている.今回,我々は岐車県東濃地域において,深度840mまでの地下水中の微生物の調査をおこなった.その結果,花崗岩および堆積岩における地下水中の微生物密度は,海洋表層と同レベルの105~106cells/mlにも達することを確認した.また,特有のpH,Ehを示す深度において,鉄酸化/還元細菌が103~105/mlという高密度で存在していることも明らかとなった.さらに,これらのバクテリアが存在する深度のpH-酸化還元電位は,Fe2+/Fe(OH)3もしくはFeS2/Fe2+,FeS2/FeCO3の酸化還元境界と一致していた.これらの地下微生物は,深部地質環境における沈澱,溶解,硫黄・鉄などの循環といった地球化学的プロセスと深く関係しているものと考えられる.

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© 1999 一般社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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