日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
総説
COPD の診断:病歴・身体所見から
長坂 行雄土谷 美知子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 49 巻 3 号 p. 107-111

詳細
抄録

 COPD は肺気腫と慢性気管支に分類され,肺気腫は痩せてチアノーゼのないpink puffer,慢性気管支炎は肥って咳,痰が多く浮腫,チアノーゼのあるblue bloater という特徴があった.抗菌薬が普及しblue bloater は激減した.ガイドラインでは気腫型と非気腫型に分けられる.最近では非気腫型でも咳,痰は少なく,痩せておらず浮腫,チアノーゼも認めない.禁煙後 10 年以上で発症する例もある.

 肺機能では呼出障害を示すが,動的過膨張とair trapping のため自覚症状は「息が吸いにくい」が多い.横隔膜の働きが損なわれ,肺コンプライアンス(Cl)が大きいので頸部の呼吸補助筋のうちストロークの長い胸鎖乳突筋が発達する.胸鎖乳突筋の発達は1 秒量<1 L を示唆する.CPFE は間質性肺炎との中間で横隔膜も働きCl も正常に近く斜角筋の役割が大きい.このように病態生理で症状,身体所見が理解できる.

著者関連情報
© 2019 日本臨床生理学会
次の記事
feedback
Top