2021 年 51 巻 2 号 p. 89-93
目的:皮膚色は患者の病状の評価に有用であるが,急性の病態変化と皮膚色の変化に関する研究は少ない.本研究では維持透析患者の前腕皮膚色を測定し,透析前後の皮膚色の変化の有無,およびその関連因子について検討した.
方法:対象は血液透析患者13 人(67.3 ± 9.6 歳).透析前後でシャント形成していない前腕皮膚色を分光測色計で測定し,L*a*b*表色系で示した.除水量・透析前後のバイタルサイン・ヘモグロビン・ヘマトクリットも測定し,透析前後の皮膚色の変動を把握した上で,皮膚色の変化と除水量等との関係を検討した.
結果:透析前後の前腕皮膚色は,L*とb*の低下,およびa*の上昇を認めた.除水量とL*の変化量(ΔL*)との間に負の相関,除水量と色差ΔE* ab との間には正の相関を認めた.血圧の変化量とΔL*には正の相関を認めた.
結論:透析前後の皮膚色の明度L*の変化は,除水量および血圧と関連していた.