超音波診断装置を用いた長母趾屈筋収縮時におけるKager’s fat padの動態評価の信頼性

─健常成人を対象としたパイロットスタディ─

抄録

【目的】超音波診断装置（エコー）を用い，長母趾屈筋（FHL）収縮時におけるKager’s fat pad（KFP）近位部の動態評価と測定位置の一致性に関する信頼性およびKFP動態変化量を検討した。【方法】対象は健常成人12名12足。KFP長軸像にて，脛骨後果直上に位置する腱最深層部-KFP最深層部の2点間距離をKFP厚，脛骨後果最大膨隆部とその直上に位置する表皮最浅層部との2点間距離を表皮後果距離と定義し，安静時・FHL収縮時のKFP厚・表皮後果距離を算出。検者2名で測定を行い，数日後，検者1名が再測定を実施。2場面におけるKFP厚と表皮後果距離の検者内・検者間信頼性とKFP厚変化量を検討した。【結果】KFP厚・表皮後果距離の信頼性に関し，級内相関係数は“fair-great (0.88-0.96)”であり，系統誤差は認めなかった。KFP厚は収縮時で有意に増加した。【結論】エコーを用いたFHL収縮時のKFP近位部動態評価は良好な信頼性を示した。また，収縮に伴いKFP近位部の厚さが増加するような動態を示した。