運動器理学療法学
Online ISSN : 2436-8075
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エディトリアル
研究論文(原著)
  • 下澤 駿介, ⼯藤 優, 伊藤 颯亮
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 43-49
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2023/09/28
    ジャーナル フリー

    【⽬的】⼈⼯膝関節全置換術(以下,TKA)後における,膝関節屈曲可動域および股関節伸展位での膝関節屈曲可動域(以下,膝屈曲E 値)が遊脚期最⼤膝関節屈曲⾓度(以下,Sw ⾓度)に及ぼす影響を検討することとした。【⽅法】膝関節屈曲可動域および膝屈曲E 値を術前および退院時,Sw ⾓度を退院時に測定した。Sw ⾓度を従属変数,退院時における膝関節屈曲可動域と膝屈曲E 値を独⽴変数とし,Sw ⾓度への影響因⼦を探索した。また,膝関節屈曲可動域および膝屈曲E 値は,術前と退院時の差について検討した。【結果】Sw ⾓度の影響因⼦として膝屈曲E 値が抽出された。また,膝屈曲E 値は術前から退院時で有意な減少を認めた。 【結論】Sw ⾓度には,膝屈曲E 値が影響する可能性が推測され,TKA 後の歩容改善を図る上で膝関節屈曲可動域のみならず膝屈曲E 値への評価・介⼊の必要性が⽰唆された。

  • ⼩暮(津村) ⼀美, 倉坪 亮太, 眞々⽥ 有理, ⼾⽥ 成昭, 嘉治 ⼀樹, 岩間 友, ⽉村 泰規
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 50-55
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2023/10/13
    ジャーナル フリー

    【背景】⾃家培養軟⾻細胞移植術(以下,ACI)は術後6 ヵ⽉以降に低〜中等度の⾝体活動が増加する。しかし,この時期における主観的膝関節機能と⾝体機能の関連性は明らかにされていない。【⽬的】ACI 後6 ヵ⽉の主観的膝関節機能と関連する⾝体機能を明らかにすること。【⽅法】対象は当院にてACI を施⾏した29 名とした。Lysholm Knee Score(以下,LKS)を⽤いて主観的膝関節機能を評価した。⾝体機能は,関節可動域(膝屈曲,伸展),下肢筋⼒(膝関節伸展,股関節外転,⾜趾把持),歩⾏速度を評価した。LKS の得点が65 点以上をLKS 良好群,65 点未満をLKS 不良群とし,測定項⽬を群間で⽐較した。【結果】LKS 良好群はLKS 不良群と⽐較して,股関節外転筋⼒患健⽐,努⼒歩⾏速度が有意に⾼値であった(p < 0.05)。【結論】ACI 後の主観的膝関節機能と股関節外転筋⼒および努⼒歩⾏速度の関連性が⽰唆された。

  • 井上 智晴, 加藤 浩, ⾼橋 俊章
    原稿種別: 研究論⽂(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 56-66
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/01/19
    ジャーナル フリー

    【⽬的】健常成⼈のストップジャンプ動作時の姿勢や⼒学的エネルギー伝達の性差の有無について検討した。 【⽅法】対象は健常成⼈男性15 名,⼥性14 名とした。VICON を⽤いて,ストップジャンプ時の下肢関節⾓度,床反⼒,セグメントモーメントパワー,Positive mechanical works,Negative mechanical works,助⾛速度,最⼤等尺性収縮時の筋トルクを測定し,各パラメータの性差の分析と相関関係の検討を⾏った。【結果】⼤腿近位での負のセグメントモーメントパワー最⼤値と下腿近位部のNegative mechanical works は男性と⽐べ⼥性が有意に低値を⽰した。⼥性はより伸展位な着地姿勢や下肢筋⼒,膝関節弛緩と関連があった。【結論】⼥性はより伸展位な着地姿勢や低い膝関節伸展筋⼒,⼤きな膝関節弛緩により,股関節や膝関節での衝撃吸収が減少することで着地の衝撃を散逸しきれていないことが⽰唆された。

  • ⼩池 教⽂, ⾼⼭ 真希, ⾦原 ⼀宏, ⽥沼 明
    原稿種別: 研究論⽂(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 67-75
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/02/03
    ジャーナル フリー

    【⽬的】本研究の⽬的は,変形性股関節症における腰痛と脊椎可動性に関連性があるか明らかにすることである。【⽅法】術前進⾏期〜末期変形性股関節症患者70 例を対象とし,腰痛あり群,腰痛なし群の2 群に分け,両群に対しSpinal Mouse® にて脊椎可動性評価,単純X 線画像による全脊椎側⾯像から脊椎アライメント評価,股関節可動域測定を実施した。【結果】腰痛あり群39 例,腰痛なし群31 例に群分けされ,多変量解析の結果,変形性股関節症における腰痛発症に最も影響を与える因⼦として,胸椎可動性減少が⽰された(p<0.05)。【結論】変形性股関節症患者に発症する腰痛に対し,胸椎可動性減少が影響因⼦となる可能性が⽰唆された。

  • 植⽥ 篤史, 三⾕ 保弘, 幸⽥ 仁志, ⼤嶺 俊充, 稲⽥ ⻯太, 森 瞬彩, ⼩⻄ 尚之
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 76-81
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/02/10
    ジャーナル フリー

    【⽬的】⽔平内転⾓の違いがProne Shoulder External Rotation(以下,PSER)中の肩関節外旋筋の筋活動に与える影響を明らかにすること。【⽅法】対象は健常男性12 名とした。運動課題は肩90° 外転位においての90° 外旋位保持とした。PSER 中の筋活動は棘下筋,⼩円筋,三⾓筋後部線維を計測した。PSER の条件は⽔平内転0°,15°,30° とした。PSER の3 条件間の筋活動を⽐較した。【結果】棘下筋と⼩円筋の筋活動は条件間に有意な差は認められなかった。⽔平内転30° のPSER における三⾓筋後部線維の筋活動は,0° よりも有意に低下した(p = 0.003, d = 0.95)。【結論】⽔平内転30° のPSER は棘下筋と⼩円筋の筋活動を低下させずに,三⾓筋後部線維の筋活動を抑制させることが明らかになった。

症例報告
  • 烏⼭ 昌起, 河上 淳⼀, 鶴⽥ 崇, 南川 智彦
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 3 巻 2 号 p. 82-91
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2023/10/14
    ジャーナル フリー
    電子付録

    【⽬的】後⽅不安定性を有する習慣性肩関節脱⾅患者に対して運動療法を実施したので報告する。【症例】習慣性肩関節脱⾅と診断された10 歳台の⼥性であり,⽇常⽣活や剣道動作において疼痛と⾃覚的脱⾅感を訴えた。治療は8 週間の運動療法と⽇常⽣活動作指導を実施した。臨床成績は,疼痛,⾃覚的脱⾅感,Shoulder 36,Rowe score,Pain Catastrophizing scale で評価した。さらに,肩関節動態の経時的な変化を観察するために,超⾳波検査を⽤いて上腕⾻頭の後⽅移動を評価した。介⼊8 週時に⽇常⽣活の疼痛と⾃覚的脱⾅感は消失し,上腕⾻頭の後⽅移動は初期評価時と⽐べて減少した。本症例は,肩関節運動機能の改善に伴い剣道へ復帰した。 【結論】本報告の結果は,習慣性肩関節脱⾅患者に対する運動療法の有効性を⽰唆した。

  • ⼩野 ⽇菜乃, 河上 淳⼀, 宮﨑 ⼤地, 佐藤 ⼀樹, 釘宮 基泰
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 3 巻 2 号 p. 92-98
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル フリー

    【⽬的】上腕⾻近位端⾻折術後の症例に対し,⼼理社会的因⼦に対する評価と介⼊を組み合わせた理学療法を実施し,良好な結果を得たため報告する。【症例】本症例は60 歳台⼥性で,看護業務中に転倒し左上腕⾻近位端⾻折と診断された。受傷3 ⽇後にプレート固定術を施⾏,術後6 週⽬に仕事復帰,術後11 週⽬までの経過は順調であった。しかし,本症例が希望した⾞椅⼦介助は左肩の恐怖感のため難渋した。⾞椅⼦介助を制限している要因は肩関節の機能障害と異なると考え,⼼理社会的因⼦の評価を追加した。⼼理社会的評価の結果からTSK が⾼く,⾞椅⼦介助に恐怖感があるという訴えから,運動恐怖に着⽬しGMI を実施した結果,⾞椅⼦介助への恐怖感が軽減し⾞椅⼦介助が可能になった。【結論】上腕⾻近位端⾻折術後の症例に対して⼼理社会的因⼦の評価と介⼊が有⽤であると⽰唆された。

調査報告
  • ─頸部,肩関節,肘関節,⼿関節・⼿部機能障害について─
    ⾚坂 清和, 葉 清規, 横⼭ 茂樹, 対⾺ 栄輝
    原稿種別: 調査報告
    2024 年 3 巻 2 号 p. 99-115
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/01/15
    ジャーナル フリー

    【⽬的】本研究の⽬的は,理学療法ガイドライン第2 版(以下,ガイドライン)における上半⾝に対する実践状況を調査することである。【⽅法】アンケート調査を実施し,ガイドラインの活⽤状況および患者アウトカム改善への貢献,活⽤に対する満⾜度について回答を分析した。【結果】ガイドラインが役に⽴ったと回答したものは92.9% だった。役に⽴った場⾯は,「実践している理学療法のエビデンスを調べる時」(80.8%)や「臨床で理学療法を選択する時」(61.5%)が多かった。また,満⾜度について,頸部は55.1 ± 4.7%,肩関節は69.4 ± 7.6%,外側上顆炎は57.1 ± 10.3%,肘部管症候群は42.5 ± 8.3%,橈⾻遠位端⾻折は64.3 ± 16.0%,⼿指屈筋腱損傷は57.1%,関節リウマチは64.3 ± 7.1%,⼿根管症候群は57.1 ± 20.2% であった。【結論】ガイドラインに対する⾼い有⽤性が⽰されたが,活⽤に対する満⾜度は中等度であった。

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