産業医学
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法定塵肺検診のための自記式呼吸器症状質問票の評価
日下 幸則横山 邦彦瀬良 好澄白川 太郎後藤 稠森本 兼曩
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1989 年 31 巻 6 号 p. 415-420

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抄録
法定塵肺検診のために労働省が作成し推薦している自記式質問票を,英国医学研究協議会により標準化された面接式質問票(日本版)と比較し,その相関性と妥当性を評価した.粉じん作業者400名を含む800名に両質問票を同日に配布し,訓練された医学生が問診を行った.
年3か月以上毎日のようにある持続性咳または痰に関し,得られた結果は良い一致を示し,有症率に差は見られなかった.
面接式質問票により得られた結果を仮に真と仮定したとき,持続性咳または痰につき自記式質問票は99%以上の特異度を持っていたが,鋭敏度はこれに劣り, 80%以下であった. 2年以上にわたる慢性咳または痰の有症者に限った場合,鋭敏度は84%に向上した.症状の軽い者は,自記式質問票に対しては呼吸器症状がないように回答する傾向にあるものと思われる.この自記式質問票は,塵肺患者のような集団にも適用され,その妥当性が検証されねばならない.
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© 社団法人 日本産業衛生学会
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