産業医学
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振動工具による障害の筋電図学的研究 : 2. 蒼白発作と筋電図所見との関連をめぐって
勝沼 晴雄鈴木 継美長谷川 恒夫
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1963 年 5 巻 6 号 p. 453-461

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抄録

振動工具取扱い者に発生する手指の蒼白発作と,筋電図所見との間に,何らかの関連があるかどうかを確める目的で,調査を実施した。 調査は某鉱山のさく岩夫,職長,さく岩の経験のない坑内夫計48名についてなされた。 この結果; (1) 筋電図検査によってえられた異常者の出現頻度は,さく岩夫(レッグ型使用者),さく岩夫(長孔穿孔型使用者),職長,坑内夫の間で,若干異なっていたが,統計的には有意の差はなかった。 (2) 筋電図所見上の異常としては,Complex NMU Voltage, Reinnervation Voltage, Grouping Voltageの3種がみられた。 (3) 手指の蒼白発作を有するものは,さく岩夫(レッグ型使用)とさく岩の経験ある職長にかぎられた。が,必らずしも筋電図上の異常を伴っていなかった。 (4) 手指蒼白を前に示したが,レッグ型さく岩機使用中止によって,示さなくなったものがあった。 (5) チタン酸バリウムを用いた加速度型ピック・アップによって,振動を測定したが,レッグ型さく岩機と長孔穿孔機の間には,かなりの相違が認められた。 などが明らかとなった。 これらの結果から,(イ)手指の蒼白発作と筋電図異常所見の出現とは,相互に独立な事象と考えられた。(ロ)長孔穿孔機の使用は,神経・筋の障害をおこしやすい可能性がある。(ハ)レッグ型さく岩機の使用は,蒼白発作と筋電図所見異常の両者を発生させると考えられた。

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© 社団法人 日本産業衛生学会
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