本年4月14日に,生活者ニーズを把握し,それに対応する科学技術課題を考えるためのシンポジウムが東京で開催された。このシンポジウムは,双方向型のパーソナルなコミュニケーションを通じて,従来あまり聞くことのできない「生活者」による積極的なニーズ提示を期待するものである。結果は,「生活者」の好意的·消極的反応に終わり,シンポジウムの利得は最大化されたとは言い難い。筆者は,この一見非合理的な行動の主たる理由を,参加した生活者の有する情報の不足と考え,その根拠について,「変動和2人ゲーム論」を適用しながら説明する。