情報管理
Online ISSN : 1347-1597
Print ISSN : 0021-7298
ISSN-L : 0021-7298
米国特許法改正案の概要と解説
服部 健一
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 48 巻 11 号 p. 707-716

詳細
抄録

米国特許制度は知的財産社会の発展に大きく貢献してきたが,反面最近は特許に対する過大評価,ペーパー特許による損害賠償やロイヤルティの恐喝(patent troll),一部米国特許の質の悪さなどという問題点が急速に浮上してきた。
そして米国研究機関の数年間の総合的検討の結果,現在の特許制度は技術開発を促進するうえで,深刻な摩擦を生み出している問題が提起され,今年になって急に特許法改正案が提出され始めた。この法案は先願主義から,先発表主義,フロードは特許庁で調査,異議申立制度の導入,損害賠償の適正化等という世紀に一度あるかないかという抜本的改正案である。
しかし,この特許法改正案に対して情報産業,医薬産業,バイオ産業,学術団体というセクターの異なる利害があからさまになり,3つの改正案が出されるに至っている。これまで特許法改正は普通3~5年かかってきたことから,この改正法も時間がかかると見られているその一方,先願主義等についてはほとんど反対はないため,重要改正点について個別に提案,可決されていく可能性も否定されていない。今後産業界がどのように妥協し,議会がどのように対処していくか注目されるところである。

著者関連情報
© Japan Science and Technology Agency 2006
次の記事
feedback
Top