2007 年 50 巻 9 号 p. 580-593
本稿は米国国立医学図書館(NLM)が作成するMEDLINEデータベースを中心とするNLMの医学情報サービスについて,1960年代から現在までを歴史的に概観する。医学文献データベースの創成期であるMEDLARSの時代から,MEDLINEのオンライン時代,飛躍的に利用の伸びた今日のWeb版のデータベース・サービスPubMed,従来の医療関係者中心から一般市民への健康情報提供へと転換したMEDLINEplus,そして一次文献のデジタル・アーカイブPubMed Centralまでを時系列的に追跡していくとともに,NLMの情報戦略についても触れていく。特に筆者が受けたMEDLARS索引・検索研修の経験から,索引作業の実際,そしてMEDLARSのバッチ処理検索プロセスの実務についても詳細に述べる。