抄録
出版社,代理店,購読機関の三者は,学術雑誌の購読契約を通じて,学術情報の流通という同じ目的に対して協力関係を構築した。ところが,出版社による学術雑誌の毎年の価格高騰によりこの関係が不安定なものとなった。本稿では,学術雑誌ビジネスの主たるステークホルダーである出版社,代理店,購読機関の関係を概観し,三者による新たな協力関係の構築の可能性を検討する。また,学術雑誌ビジネスの特異な市場構造を考察し,価格高騰が続く要因を示す。さらに,学術雑誌ビジネスの実態について,過去の状況を含めて概観し,学術雑誌ビジネスと学術情報流通の将来を予測する。