9月号発行日の9月1日は「防災の日」です。1923年(大正12年)の関東大震災はこの日でした。暦の上では二百十日にあたり台風シーズンが到来します。今号では,阪神・淡路大震災の関係資料を収集・提供する「震災文庫」を取り上げました。「一枚もの資料」の扱い,著作権処理,分類付与,デジタル公開など,18年目に入った活動を振り返ってご執筆いただきました。
昨今の音声認識技術の進歩には目を見張ります。ドコモの「しゃべってコンシェル」やiPhone 4Sの「Siri」。話しかけると意図をくんで答えてくれます。今号では,音声認識を活用した議事録作成を紹介しました。日本の国会は1890年の第1回帝国議会から逐語議事録が作成されています。「あー」「うー」などの不要語(フィラー)を自動削除し,85%の正解精度で書き言葉に変換する画期的な技術の活用事例をごらんください。2006年に掲載した「音声認識システムを活用した会議録作成―北海道議会における実例―」(http://dx.doi.org/10.1241/johokanri.49.165)も合わせてお読みいただければ幸いです。
技術の進歩に伴って,古い技術による大切な遺産が忘れ去られようとしています。今号でご紹介する「科学映像館」は,アナログ映像をデジタル変換して将来に残すための活動です。記事をお読みになったら,ぜひWebで無料公開されている「科学映像館」(http://www.kagakueizo.org/)で映像の数々をぜひごらんください。
このほか,雑誌の電子ジャーナル化やオープンアクセス状況に関する報告,オープンコースウェアによる教育コンテンツのネット公表,オープンリポジトリ国際会議報告と,「オープン」に関連した3本の記事を掲載しました。連載「統計情報活用への招待」は最終回を迎えました。ご愛読ありがとうございました。(KM)