情報管理
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経営に求められる文書情報マネジメント
木戸 修
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2014 年 57 巻 3 号 p. 170-177

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著者抄録

本稿では,日本文書情報マネジメント協会が実施している「文書情報マネージャー」認定セミナーの内容の骨子となる部分を紹介する。これまでの文書管理では,すでにあるものをいかに整理するかが話題の中心となっていた。記録管理については,これより一歩進んで説明責任のための記録を残すようにISOが策定されてはいるが,何を残せばいいのかまでは明確にはされていなかった。紙と電子データを別々に管理するのではなく,これらを同じように扱うとともに,組織の中でどのような文書・記録を残し,どのように管理していけばよいかについての考え方を示した。

1. はじめに

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(Japan Image and Information Management Association)(以下,JIIMA)は,1958年に日本マイクロ写真協会として設立発足し,その後1962年に社団法人化した。この間,技術の進歩に伴い,活動内容もマイクロシステムからイメージングシステム,文書情報マネジメントへと拡大し,1995年に社団法人日本画像情報マネジメント協会と改称し,活動内容を文書情報マネジメントの普及・啓発へと進展させた。これに関連した人材(マイクロ写真士,文書情報管理士)の育成,規格・標準化(JIS,ISO)の推進や各種ガイドラインの策定のほか,政府に対しての政策提言などの活動を続けている。公益法人制度改革により,2013年10月より公益法人として認可され,名称も日本文書情報マネジメント協会と変更した。

文書情報マネジメントの普及・啓発活動を行っていく中で,実際に文書や記録などを大量に保有している一般企業や団体などでは,それを管理していかなければならないとの意識が低く,たとえ問題意識をもっていても,実際にどのようにすればよいのかがわからず,悩んでいる人が多いことがわかった。このような方たちに対する啓蒙(けいもう)が課題であった。

ここで「文書情報」の言葉について触れておくと,JIIMAでは「組織が職務上作成し、または取得した文書、図書及び電磁的記録(電子的方式、電磁的方式その他、人の知覚によっては認識することのできない方式で作られる記録)」と定義している。従来の(記録を含む)文書・書類,図面はもとよりPC等で作成した電子文書,イメージ情報,映像,音声や電子メールなど,電子的に作成または取得したすべての情報(コンテンツ)が対象となる。したがって,以下で文書情報という場合,紙の書類だけでなく,紙をスキャニングして電子データ化したもの(電子化文書)や,もともと電子データとして作成されたもの(ボーンデジタル注1):born digital)まで広く含んでいる。

本稿では,JIIMAが実施している「文書情報マネージャー」認定セミナーの内容の骨子となる部分を紹介する。

2. 組織における文書情報管理の現状と問題点

組織には文書管理規程があり,一方で,情報システム部門はこれとは別に情報システム関係の規程集を作成してはいるが,ほとんどの場合,これらは連携していない。文書管理規程は紙の書類のみを対象とした規程で,電子データは考慮されたものとなっていない。電子データについては,文書管理規程とは異なった観点から,情報システム管理規程などが策定されており,ここでは逆に,紙の書類は考慮されていない。

これらの規程類は総務部門や情報システム部門が,組織全体に対して適用することを想定し策定しているため,一般の人にとっては抽象的すぎて,実質的には意味のない場合が多い。

その原因は,総務部門や情報システム部門が,組織内のすべての部門の要望,ニーズを把握しきれない中で,個別の部門特有のニーズに配慮しないままに規程類などを策定していることから派生している。このような中で,文書情報の管理はおろそかになり,文書管理規程を読んだことがあればまだましな方で,規程の存在さえ知らない場合もある。

一方で,文書管理システムを導入していた場合(ファイルサーバーを文書管理システムとして利用している場合も含め),共有すべき文書を必ず登録するという文化が根付いていなければ,検索しても必要な文書が見つからないために,これを利用しようとする意欲が減退し,ますます利用されない状態となる負のスパイラルに陥ってしまう。また,たとえ共有すべき文書を管理システムに登録し,必要な人がいつでも利用できる状態となったとしても,これだけでは情報共有ができているとはいえない。情報を共有することが共通認識となっており,必要なときにはいつでも使える状態で,読んでわかる情報となっていなければならないが,実際にはそのようになっていない場合がほとんどである。

3. これまでの文書情報管理

これまでは文書情報管理といえば,紙の書類に関しては,文書情報のライフサイクル(作成→処理→保管→保存→廃棄)に従った説明がなされていた。電子的に作成した文書などは,ワークフローシステムでの管理のほか,文書管理システムへの登録や,ファイルサーバーに保存するように指示される程度であった。どのようなものを残すことが必要なのかという点についてはほとんど検討されることなく,すでに存在している文書だけを対象に,これをどのように整理すればよいかを論じているだけと言っても過言ではなかった。

記録管理の国際標準とされているISO 15489-1(JIS X 0902-1)でも,「説明責任(アカウンタビリティ)」のための記録を保存することがベースとなっており,「何が伝えられ,決定され,又はどのような行動がとられたかを正確に反映するとよい」(JIS X 0902-1 7.2.1)とされているだけで,何らかの行動,決定を行った時の記録を求めているだけである。具体的にどのようなものを残さなければならないかは「各業務処理でどのような記録を作成することが望ましいか,そしてどのような情報を記録に含める必要があるかを決定すること」(JIS X 0902-1 7.1 a))というだけで,具体的にどのような記録を残せばいいかについて示されているわけではない。

説明責任のための文書情報には,たとえば意思決定を行った会議の議事録だけでなく,判断を下すもととなった資料なども残しておくことが重要となる。また,会議で決定した結論だけでなく,将来問題となりそうな議題については,異論や反対があった場合には,これも記録として残しておくことが大切な場合もある。これは,重要な事項に関しての意思決定が,善管注意義務(管理者は合理的な範囲で情報収集を行い,不合理な判断ではなく業務を行う義務)に違反していないことを説明できるようにするためであり,このような観点からみた文書情報の保存が求められる。

本質的な意味を理解しないまま記録管理を進めていると,見かけ上は多くの記録が保存されていてもほとんど役立たないものとなってしまう。

また社内規程などで,文書の保存期限が決められてはいても,重要文書は10年とされることが多いが,ほとんどは重要文書とはいったい何なのかを明確にしていない。

4. 経営にとっての文書情報マネジメント

今の企業経営や組織運営には,ガバナンス,コンプライアンスはもとより,リスク対策の面からの事業継続も強く求められている。勘と経験でなんとかなったこれまでの企業経営も,過去の経験に裏打ちされ,同じ間違いを犯さないように,しっかりとした情報をもとにした経営が必要となっている。このベースとなるものが,業務の中で作成したり入手したりするさまざまな文書であり,記録である。しかし,これら文書や記録がたとえ残されていたとしても,整理し,管理されていなければ必要なときに活用することはできない。

社会環境が激変している現在でも,過去のことは忘れて新しいことにのみ目を向けていればいいとする考えでは,将来にわたって組織を安定的に残すことはできない。組織が経験した過去の知識や経験を生かすことで,不要な失敗を防ぎ,無駄な手間を省くことができるようになる。文書情報マネジメントは経営の継続,技術の伝承のための手段であり,次世代につなげる重要な方策の1つである。

4.1 文書情報管理の目的

文書情報管理の目的として取り上げられるのは「業務の効率化」「知識・情報の共有」「書類量の削減」「アカウンタビリティ」「リスクマネジメント」であるが,これらの目的はすべて経営者側からみたものであり,実際に行う人にとっては,直接自分のことと感じることは難しいため,積極的にやっていこうということにはなりにくい。これらを,自分にとって役立つような目的に置き直し,納得しやすい形にすれば積極的に関与してもらいやすくなる。

たとえば,「業務の効率化」を,「必要な情報を短時間で取り出せる」「他の人が保存した文書でも簡単に探せる(自分の時間を奪われないようにする)」「間違った情報を使わない」「顧客満足度の向上(相手から信頼を得る)」などを,自分の明確な目的とする。必要な資料が見つけらないために周囲の人に聞いたりすれば,時間がかかるだけでなく,聞かれた側も考えが中断される。一方,正確な情報をもとに短時間で対応できれば,相手からの信頼が得やすくなる(1)。

そのためには共有すべきものは,誰でも容易に探し出せて,簡単に利用できるようにしておかなければならない。書類や情報を整理して共有化するために手間が多少かかったとしても,その後の仕事が楽になり,時間短縮できるようになれば,十分に価値があることだろう。

図1 文書情報マネジメントの目的

4.2 リスクマネジメント

リスクマネジメントでは,事業継続計画(Business Continuity Planning: BCP)のための文書情報管理が必要とされることが多い。事業継続計画に関してはバイタルレコード注2)の管理を十分に行うこととされることが多かったが,バイタルレコードとは企業の存続にかかわる文書や代替情報がほかに求められない文書としかいわれていなかった。何が大切なのか,目的を十分に理解して行わなければ,大切な文書や情報を適切に管理することはできない。たとえば,5年前の請求書や領収書などは法律で7年間の保存が義務付けられた法定保存文書であり,保存義務があり,また代替できないためバイタルレコードとみなせるが,利活用するための書類ではなく,まったく別の管理方法をとるべきものである。一方で緊急連絡先などのように,通常は使用することはないものであるが,変更があれば常に更新し,常時利用できるように紙の状態でもっておくのがいいものもある。

一方,現在は企業や組織が裁判で訴えられるケースが増え,リスクが高くなってきている。特に米国で訴訟を起こされた場合,関連する文書(電子データ,電子メールも含めて)すべてを短期間のうちに提出することが求められ(e-ディスカバリー制度),これに従えない場合や,あとから関連する文書が見つけ出された場合,懲罰的な制裁を受ける可能性がある。一方で,裁判所に提出した文書は,相手方がすべて閲覧することができるため,不用意にノウハウを含んだ文書を提出した場合は,その内容を知られてしまう危険がある。これに対応するためには,紙の書類とともに,電子データ,電子メールも含め,十分な注意を払いながら管理をしていくことが求められる。

4.3 書類量の削減

文書情報管理が注目されるのは,多くの場合がオフィスの移転時である。書類を収納するスペースが少なくなる関係から,書類の物理的な量の削減だけが目的となりがちになる。書類の50%削減などの目標を立て,必要としていない書類を安易に廃棄してしまうと,あとで必要となったときに慌てることとなる。オフィスにスキャナーや複合機があれば,廃棄するかどうか迷うような書類をすべて電子化して残すことができるとしても,多くの場合,実際には電子化した本人以外は,探すことがほとんど不可能な形でしか残されていない。

電子データの場合は,ハードディスクの単価が下がったためハードディスクを増設することで対応してしまいがちであるが,安易な増設は安易なファイルの保存につながり,ファイルサーバーがゴミ箱と化してしまう。ファイル数が多くなることで,サーバーの中から必要な情報が見つけにくくなるだけでなく,ファイル容量の増加により,ハードディスクのバックアップ時間が延びてしまい,夜間や休日の作業に支障が出てくるようになる。この対策としては,重複ファイル(同じファイルがいくつも保存されている)を見つけ出し削除すると同時に,作成途中に保存した仮ファイルなどを削除することが効果的である。

5. 保存すべき文書・情報

5.1 法定保存文書

一般の企業では,まず法定保存文書を明確にし,法律に則った保存年数を決めている。法定保存文書の種類や保存期間の一覧などは,書籍やインターネットなどからも容易に探し出すことができる。しかし,法律の改正などで保存期間が変更されたり,規制の強化により,新たに法定保存文書として追加されたりする場合もあるので,注意が必要である。

5.2 自分を守るためのもの

これはトラブルに巻き込まれない,または巻き込まれそうになったときに活用する文書情報であり,具体的には次のものがあげられる。

  • 1. PL(Product Liability,製造物責任)法で訴訟の対象となったときに自社を有利にするためのもの
  • 2. 特許の先使用権注3)を確保するためのもの
  • 3. 裁判に訴えられたときのための証拠書類
  • 4. 効力が継続している契約にかかわるもの

これらに関して保存する文書情報の範囲を広げておく方が安全ではあるが,保存する量が増加するため,どの範囲まで保存するかは経営の判断によることとなる。

特許の先使用権に関しては,特許庁のガイドライン1)に,どのようなものを残さなければならないか,また証拠を確保するための方法などが示されている。

5.3 業務を発展・継続させるためのもの

業務を発展・継続させるための文書・情報には,顧客のためのものと,組織内に対するものとがある。

顧客のためのものとしては,たとえば取引先で利用されている装置・機械などのメンテナンス用資料がある。たとえ保証期間が終了していても,顧客サービスのためには大切なものである。

組織内で大切なものとしては,技術の伝承のためのマニュアル類や成功事例だけでなく,失敗事例・事故事例などの負の経験も積極的に残すべき情報である。特に負の経験は隠してしまいたいものであり,記録として残されないことが多いが,積極的に残したいものである。

マニュアルだけでは本当の意味で技術を伝えることはできず,新しい技術,装置などを導入するときに,過去に経験済みの失敗を再度繰り返すことにもつながりかねない。マニュアルについては,単なる手順だけでなく,なぜそのような手順や方法となったのか,などの背景についても,補完する資料として残すことが大切である。

6. 文書情報管理に関連する技術

紙文書の管理についてはファイリングの技法で一般化されているが,基本となるのは重複書類,不要となった書類の廃棄である。残った書類のうち,現物を残さなければならないもの(法律で残さなければならないとされているものや歴史的に大切なものなど)以外は,できるだけ電子化して保存することが望ましい。しかし,その書類が参考書的に使われる場合は紙のままで残すことも選択肢としてありうる。また,緊急時に用いるマニュアルなどは,停電時などでも利用できるように,紙で保存しておく必要がある。

電子データには,ワープロソフトで作成したもののようにもともと電子データとして作成したボーンデジタルと呼ばれるものと,紙の文書をスキャニングして電子化した電子化文書とがある。ボーンデジタルの文書は,内部にテキストの情報をもっているため,全文検索での利用も可能であるが,電子化文書の場合はもともとがイメージ画像であるため,OCR(Optical Character Recognition,光学的文字認識)を使ってテキストを認識させるか,索引を付けなければ検索利用が困難である。

サーバーでの文書管理については,文書管理システムなどを導入していない場合は,フォルダを作成して保存することになるが,サーバーの作成基準や命名方法などをあらかじめ決めておかなければ,すぐにゴミ箱状態となってしまい,必要なファイルを探し出せなくなってしまう危険性がある。

セキュリティーに関しては,従来は記録の改ざん防止やアクセス権の管理などのシステム上の問題点が指摘されていた。その他,紙文書を施錠できるキャビネットに保管すること,などがいわれてきたが,近年,故意による情報の盗み出しが問題となるケースが多発したため,経済産業省がまとめている「営業秘密管理指針」2)では,人材を通じた技術流出についても注意を促すようになった。このように世の中の動きによって注目すべきポイントが変わってくる場合もある(2)。

図2 文書情報マネジメントの推進体制

文書情報は,文書管理規程などに従って定められた期間中はセキュリティーに注意しながら保存するが,保存期間が長いものについては,マイグレーション注4)も考慮しておかなければならない。特に電子データの場合は,システム,ソフトウェアの更新・サポート状況によっては,せっかく保存されているデータを利用できなくなる可能性もある。一時は文書保存で大きな地位を占めていた光ファイリングシステムはすでに市場から消え,データ保存に活用されていたフロッピーディスクもほとんど市場からは消えてしまった。ソフトウェアについても同様に,販売停止となりサポートされないフォーマットも多数出てきている。これらはそのシステムなどの更新前に,新しい媒体や新しいシステムで利用できるようにしておかなければならない。

また利活用を行う場合は,サーバーに保存することが必要であるが,ただ残しておくだけのもの(法定保存文書など)は,サーバーの更新期間(通常は4~5年)より保存期間が長いケースが多いため,保存期間中に何回かの,サーバー更新を迎えることもある。サーバー移行時のデータ容量増加の原因ともなるため,光メディアへ移し,ハードディスクから消去することも考慮しておいた方がよいだろう。

7. まとめ

これまで述べてきたように,文書管理,記録管理についてはさまざまな要素を考慮しながら進めていくこととなり,これをすれば完全となるような方法はない。これまで出版されてきた各種の参考書は,特定の方法の紹介だけにとどまってしまっていた。

このため,JIIMAでは「文書情報マネージャー」認定制度を発足させ,『これからの経営に求められる文書情報マネジメントのあり方』3)1)を教科書として利用し,選定セミナーを開始した。実際のセミナーでは,この教科書の内容以外に,実例なども豊富に紹介しながら,基礎とすべき知識や考え方を伝えている。組織の中で文書情報管理を進めるうえでの人材を育成し,文書情報管理が幅広く根付くようにしたい。

表1 『これからの経営に求められる文書情報マネジメントのあり方』の内容
第1章 経営戦略と文書情報マネジメント
(経営戦略と文書化と情報共有,企業情報管理,営業秘密管理,コーポレートガバナンス・内部統制・コンプライアンス・説明責任,訴訟コスト,危機管理)
第2章 文書情報マネジメントとは
(文書情報とは,文書のライフサイクル,必要な文書・記録の作成と活用,保存期間とライフサイクルポリシー,廃棄)
第3章 第3章文書情報マネジメントの基本
(文書情報マネジメントの目的,文書情報マネジメント体制の整備,文書情報の取り扱い上の課題,文書情報の活用,遵守するべき項目,バイタルレコード,著作権について)
第4章 文書情報管理のための関連技術
(文書の信頼性向上,情報発信,紙文書の管理ルール,紙文書の電子化,電子データの管理ルール,セキュリティ,アウトソーシング,ECMについて,媒体変換・マイグレーション,電子メールの管理,新しい技術,文書情報マネジメントに関する規格,ガイドライン)
第5章 第5章文書情報マネジメントの進め方
(活動計画,調査,文書管理規則の制定・改訂,文書整理・不要文書の削減活動,維持活動計画策定,文書情報マネジメントによるメリット)
第6章 文書情報の活用事例

文書情報管理は単なる書類整理だけではなく,さまざまな目的のために,日常から行っていくことが必要で,そのためには基礎知識をもっておくことが重要である。

技術の進歩だけでなく社会的な要請など,文書情報の管理を取り巻く環境は日々変化している。出版されている書籍などだけに頼っていては,環境の変化に取り残されてしまう。

文書情報管理については,百点満点の方法はありえず,どこまで百点に近づけることができるかが大切である。

企業や組織ごとに目的とするものが違い,求められていることに違いが出てくるだけでなく,1つの企業の中でも,部門によって方法は大きく異なってくる。そのためには,個別のニーズを吸収できる柔軟な方法を模索すべきであり,基礎的な知識をベースとして,成功した事例などを参考にすれば,よりよい方法を見つけやすい。いったん決めた方法でも,不具合が見つかったり,より好ましい方法が見つかったりした場合などは,修正を重ねていくことが重要である。

本文の注
注1)  ボーンデジタル(born digital):パソコンやデジタルカメラなど,はじめからデジタルデータとして作成されたものをいう。紙やフィルムといったものをスキャニングなどして電子化したものと区別するときに用いる。

注2)  バイタルレコード(vital records):情報資産の中でも,組織の存続にかかわる文書や代替情報が他に求められない文書を特に「バイタルレコード」と呼ぶ。一般的には組織がもつすべての情報の5~7%程度と推定されている。

注3)  先使用権:特許を出願せずにノウハウとして秘匿していた場合,他社が特許権を取得した場合でも,法律の定める一定の範囲で,取得された特許権を無償で使用し,事業を継続できるようにすることを認められる権利。

注4)  マイグレーション(migration):プログラムやデータの移行,変換作業のこと。データを記録している媒体の寿命がきた,ハードウェアのOSが変更された,プログラムがバージョンアップされたときなどに,データを新しい環境で使用できるように移行,変換が必要となる。

参考文献
  • 1)  特許庁. “先使用権制度の円滑な活用に向けて-戦略的なノウハウ管理のために-”. 平成18年6月. http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/senshiyouken/17.pdf, (accessed 2014-04-03).
  • 2)  経済産業省. “営業秘密管理指針”. 平成15年1月30日(最終改訂平成25年8月16日)http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/111216hontai.pdf, (accessed 2014-04-03).
  • 3)  JIIMA文書情報マネージャー認定委員会著,  牧野 二郎共著・監修. これからの経営に求められる文書情報マネジメントのあり方:Document information management. 日本画像情報マネジメント協会, 2013.
 
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