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JSTサービス紹介
JSTサービス紹介 J-STAGEの登載対象コンテンツ拡大
坪井 彩子
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2016 年 59 巻 3 号 p. 197-199

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1. はじめに

科学技術振興機構(JST)が運営するJ-STAGE(Japan Science and Technology Information Aggregator, Electronic)注1)は,2015年11月末より登載コンテンツに関するサービス方針を新たにし,これまで査読付き論文誌が中心であった登載対象コンテンツの拡大を実施した。これにより,従来は登載対象とならなかった会議論文・要旨集,研究報告書,一般解説誌等もJ-STAGEの登載対象となった。また,登載対象コンテンツの拡大にあわせ,簡便にJ-STAGEに記事を登載できるWeb登載機能を開発し,提供を開始した。本稿では,J-STAGE登載対象コンテンツに関する新たなサービス方針について,公開画面表示の変更点や新しい登載機能にも触れながら紹介する。

2. J-STAGE登載対象コンテンツの拡大について

J-STAGEは,科学技術刊行物の電子化による情報の発信と流通の迅速化を目的としたプラットフォームとして,1999年にサービスを開始した。2003年に大規模なシステム改修を実施1),さらに2012年には,学協会誌について創刊号までさかのぼって電子化を行ったjournal@rchive事業2)と統合し,拡大を続けてきた。この間,主として査読付きの論文誌を中心に登載を行っており,科学技術刊行物であっても,査読記事が含まれていない論文誌や,投稿者が限られる大学の紀要などは,これまでJ-STAGEの登載対象とはならなかった。

新たなサービス方針ではこの要件を緩和し,査読付きの論文誌以外にも,企業等が刊行する「研究報告書・技術報告書」,研究開発成果の発表概要をまとめた「会議論文・要旨集」,知識や技術・製品紹介などの記事を掲載した「解説誌」,科学技術の理解増進を目的とした記事を掲載した「一般情報誌」等も登載の対象とした(1)。この登載対象コンテンツの拡大により,J-STAGEは論文誌に限らず幅広い科学技術刊行物の電子化を支援,国際的流通を促進してゆく。また,発行機関にとってはJ-STAGEを利用して科学技術刊行物を発信できる機会が大きく増加することとなる。

さらに,JSTは国立情報学研究所電子図書館事業(NII-ELS)の段階的なサービス終了注2)に伴い,発行機関の要望に応じてNII-ELS掲載誌のJ-STAGEへの受け入れを行う。JSTは国立情報学研究所と連携し,過去データの移行をスムーズに行うための支援を実施する。このような登載対象コンテンツ拡大の取り組みの結果,学協会や閲覧者がJ-STAGEを利用する機会がますます増えていくことを期待したい。

表1 J-STAGE登載コンテンツの拡大

3. 公開画面表示のリニューアルについて

先述のとおり,対象コンテンツ拡大により,さまざまな資料がJ-STAGEに登載されるようになった。そのため,閲覧時の利便性を考慮し,「資料種別」をアイコン表示するよう公開画面の改修を行った(1)。また,資料種別を指定した検索も可能とした。さらに,査読付き論文を掲載する資料には,査読アイコンが表示され,資料の検索時に「査読あり」の条件で検索ができるようになった。

図1 J-STAGE公開画面のリニューアル

4. 新しい登載機能について

J-STAGEでは,各発行機関がJ-STAGEの登載機能を用いて記事の登載作業を行っている。従前より提供しているXML登載機能では,それぞれの記事について記事の全文PDFファイルに加えて書誌事項を記載したXMLファイルを作成してアップロードする必要がある。しかしながら,今回の登載対象コンテンツ拡大により,XMLに関する専門知識を有さない機関や記事数の少ない刊行物の登載を希望する機関などもJ-STAGEを利用することとなる。そのため,JSTは従来のXML登載機能と比較し,より簡単な操作でJ-STAGEへの記事登載を行うことのできる「Web登載機能」を新たに開発し,2015年11月29日にリリースした注3)2にXML登載機能とWeb登載機能の特徴をまとめた。Web登載機能では,記事をアップロードする際にXMLファイルを必要とせず,Web画面から直接書誌事項を入力し,PDFファイルをアップロードすることで公開に必要な操作が完了する。本機能により,記事数の少ない刊行物の登載も簡単に行えるようになり,J-STAGEの利用が開始しやすくなった。

表2 XML登載機能とWeb登載機能の特徴
機能 特徴
XML登載機能(従来) ・XMLファイル(全文または書誌)を用意する必要がある
・複数の記事を一度にアップロード可能
・セクション作成,記事表示順の設定,早期公開など,詳細な設定が可能
・記事数の多い資料向き
Web登載機能(新規) ・XMLファイルを必要とせず,簡易に記事の登載を行うことが可能
・1記事ずつ書誌事項をWeb画面へ入力して記事を登載する
・記事数の少ない資料向き

5. J-STAGEの収録状況と今後の展望

J-STAGEは2016年3月末現在で公開誌数が1,900誌,登載記事数は270万記事を超えている。従来は年間約50誌を新規に登載していたが,2016年度は登載対象コンテンツの拡大を受け新規誌の受け入れ数を大幅に拡大し,300誌以上の新規登載を予定している(2)。この中には,従来はJ-STAGE登載の対象としていなかった「会議論文・要旨集」や「研究報告書・技術報告書」がそれぞれ約30誌含まれており,J-STAGEのコンテンツがより充実する見込みである。

図2 J-STAGE登載誌数の推移

6. おわりに

本稿では,J-STAGEの登載対象コンテンツの拡大について,公開画面表示の変更点やWeb登載機能にも触れながら紹介した。登載対象コンテンツの拡大により,2016年度には新規登載種別の資料やNII-ELS移行誌の多数登載を予定している。このような取り組みを通じて,J-STAGEのコンテンツをさらに充実させ,幅広い日本の学術情報の電子化・国内外へ向けた流通促進へつなげてゆきたい。

(科学技術振興機構 坪井彩子)

本文の注
注1)  国立研究開発法人科学技術振興機構. “J-STAGE”:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja, (accessed 2016-4-12).

注2)  国立情報学研究所. “電子図書館(NII-ELS)の事業終了について”:国立情報学研究所電子図書館. https://www.nii.ac.jp/nels_soc/about/.

注3)  国立研究開発法人科学技術振興機構. “J-STAGE 対象コンテンツ拡大とWeb登載機能の追加について”. J-STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/pub/html/pdf/AY04S580.files/release151030_01.pdf.

参考文献
  • 1)  植松利晃. J-STAGEの現状とJ-STAGE2の開発. 情報管理. 2003, vol. 46, no. 8, p. 536-545. http://doi.org/10.1241/johokanri.46.536, (accessed 2016-05-06).
  • 2)  独立行政法人科学技術振興機構(JST)文献情報部電子ジャーナル課. Journal@rchive:日本の学術誌の電子アーカイブ公開. 情報管理. 2006, vol. 49, no. 3, p. 147-150. http://doi.org/10.1241/johokanri.49.147, (accessed 2016-05-06).
 
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