高等学校情報科の現状を具体例として,日本における情報教育の格差について議論する。政府が導入を計画している小学校におけるプログラミング教育についても,格差が新たに生み出される危惧について触れる。そして,そのような格差をなくすためには,情報教育の重要性を現場の教員や教育委員会が認識することが重要であることを指摘する。情報教育の親学問である情報学を明確に定義することがその認識のための一つの前提であると述べ,日本学術会議により公開された「情報学分野の参照基準」について報告する。最後に,初等中等教育から大学・大学院までの情報教育全体を体系化する「情報教育の参照基準」の必要性について指摘する。